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2012/05/17

新メンバーに捧げる狂想曲(ラプソディ)

第1階層 古跡ノ樹海 2F

キャット
「さすがに階が上がると、魔物の強さも上がるわね」
シオン
「そうですね。特にオオサボテンが強敵です」
アリア
「クローラーより強かったですもんね。もっとも、クローラーx3が出てきた時にはここで冒険終わりかと思いましたけど(汗)」
キャット
「あの時はリーダーの逃げ足に救われたわ……」
シオン
「さて、ではそろそろ引き上げましょうか」
アリア
「え? もうですか?」
キャット
「まだ体力にもTPにも余裕はあるわよ?」
シオン
「とは言え、メディカの残りが僅かになってしまいましたので」
キャット
「……ねえ。やっぱり回復がメディカ頼みって厳しくない?」
シオン
「……やはりメディックかドクトルマグスをメンバーに加えるべきでしょうか」
キャット
「絶対そうするべきよ。迷宮探索には、あと1人メンバーを連れて行ける訳だし」
シオン
「そうですね。街に戻ったら、ギルド長に相談してみましょう」
アリア
「はーい。じゃあアリアドネの糸を使いますね」
シオン
「アリア、ストップです」
アリア
「へ? 街に帰るんじゃないんですか?」
シオン
「アリアドネの糸代を節約するためにも、歩いて帰りましょう」
キャット
「……そんなにお金に余裕が無いの?」
シオン
「はっきり言えば余裕ゼロ、アリアドネの糸代として100エンも払っていては赤字になってしまいます。何せ、毎回10個はメディカを消費しますから」
キャット
「……メディックかドクトルマグスをメンバー加えることを心に誓ったわ」
シオン
「まあ、1階の広間にショートカットがありますから、それ程遠い道のりではありませんよ」
アリア
「はーい。……ほら、かにさん帰りますよ」
かに
「(五体倒地状態)……返事が無い。ただの屍のようだ」
キャット
「……放っておけばいいんじゃない?」
アリア
「そうだね。じゃあ帰ろっか」
かに
「(ガバッ)ちょっと待てーい! 人の後頭部を斧で全力フルスイング峰打ちしておいて、それは無いんじゃないか!?」
アリア
「自業自得です(きっぱり)」
キャット
「あんた、自分が何しでかしたか忘れたの?(冷)」
かに
「何って、ちょいと魔がさしてFOEに突撃しただけではないか(しれっ)」

ドキューーーン

かに
「あらよっと(ひょい)」
キャット
「それが大問題だって言ってんのよ! っていうか、必中のはずの精密射撃が何で当たらないの!?」
かに
「集中力が足らんのではないか?」
キャット
「しゅ、集中力を乱す張本人が偉そうにーっ!(地団太)」
アリア
「キャットちゃん。私が代わりにツッコミしてあげよっか?」
キャット
「ありがとうアリア、気持ちはとっても嬉しいわ。……でもね? これは私のガンナーとしてのプライドの問題なの!」
アリア
「キャットちゃんが燃えてる!」
かに
「はっはっは。まあ頑張れ」
キャット
「いつか絶対に当ててやるから覚悟してなさい!」
シオン
「キャット、落ち着いて下さい。先輩もFOEに対して突撃するのは止めて頂けますか? アリアの言ではありませんが、下手するとその場で冒険が終わってしまいます」
かに
「心配無用! 我らがパラディンのスキル『全力逃走』を持ってすれば、FOEなど敵では無い!」
アリア
「……まあ、逃げるだけですから敵じゃ無いですよね。こっちにとっても、FOEにとっても(呆)」
キャット
「一体全体、何がしたいのか理解に苦しむわ……」
かに
「なに、一度FOEとやらをこの目で見ておきたくてな。あのFOE、狂乱の角鹿と言ったか。あいつを倒すにはどんな手段があるかのう……」
キャット
「FOEとは敵対厳禁でしょ! 無駄なこと考えてないでさっさと帰るわよ!」



☆    ☆    ☆    ☆    ☆



冒険者ギルド

謎のバード
「(書き書き)……ほい、冒険者登録完了、と。これでオレは、晴れてハイ・ラガード公国の冒険者って訳だ♪」
ギルド長
「……」
謎のバード
「あれ? ギルド長さんはご機嫌斜め?」
ギルド長
「……よりよって、ハイ・ラガード公国一、不真面目なお前を冒険者と認定する日が来るとはな(悔)」
謎のバード
「……期待に胸膨らます新人冒険者に対して、そのお言葉はどうよ?」
ギルド長
「そもそもヴィクトールよ」
ヴィクトール
「やだなぁギルド長。自分のことは親しみを込めてヴィクって呼んでくれって、前から言ってるっしょ?」
ギルド長
「貴様と慣れ合うつもりはない」
ヴィクトール
「うわバッサリ」
ギルド長
「そんなことより、この街に来てから一ヶ月、ただただナンパしているだけだったお前が、何故今になって冒険者になったのだ?」
ヴィクトール
「いや〜。待ってても世界樹を踏破するギルドは出なさそうだし、だったらオレがやるしかないっしょ?」
ギルド長
「お前が世界樹の踏破? ……悪い冗談だ」
ヴィクトール
「ははは〜。何せ、そろそろ時間が無いもんでね〜♪」
ギルド長
「時間? ……何か訳あり、か?」
ヴィクトール
「あれ? ひょっとしてギルド長、心配してくれてるの?」
ギルド長
「それこそ悪い冗談だな。……まあいい。正式に迷宮を探索するため、さっさと公宮からのミッションを達成してこい」
ヴィクトール
「あ、それね、もうミッションをクリアしたギルドに入っちゃおうと思ってるんだ、オレ♪」
ギルド長
「待て、それはありなのか?」
ヴィクトール
「だって、ダメとは言われてないもんね〜」
ギルド長
「た、確かにそうしてはいかんという規定は無いが……。しかし、最低限の実力を備えた冒険者を振るいにかけるという主旨からすると……(考え中)」
ヴィクトール
「!!!」

スタタタタ〜

ギルド長
「……いやしかし、規定が無い以上は認めるべきなのか? いや待て。そもそも、お前のような変人を受け入れるギルドなどある訳が…………おいヴィクトール、どこに行った!?」



☆    ☆    ☆    ☆    ☆



ハイ・ラガード公国 街中

アリア
「フリーのメディックさんかドクトルマグスさんが居るといいねー」
キャット
「ギルドの財政回復のため、何が何でも居てもらわないと! ……いざとなれば、お姉ちゃ……ううん、ギルド長の強権を発動させてでも……(ぶつぶつ)」
かに
「こらこら。大体、別に赤貧でもいいじゃないか。貧乏で苦労するのも楽しいものだぞ?」
キャット
「生憎、私はあんたみたいにドMじゃないの(冷)」
かに
「酷! っていうか、女の子がそんな言葉を使っちゃいけません!」
キャット
「やかましい。……って、あら?」
シオン
「……何やら冒険者ギルド前が騒がしいですね」



☆    ☆    ☆    ☆    ☆



冒険者ギルド前

ヴィクトール
「そこのお嬢さーん、ヒマしてる〜?」
謎の美女
「……え? わ、私ですか?」
ヴィクトール
「そうそう。君、メディックだよね? 良かったらオレと一緒に冒険しない?(歯キラリ)」
謎の美女
「はい、宜しくお願いします!」
ヴィクトール
「……あら? ちょっと意外な反応」
謎の美女
「す、すみません。私、先ほど冒険者登録をしたばかりなものでして。一緒に冒険して下さる方を探していたんです」
ヴィクトール
「君みたいな美人な子がねー。何か訳アリ?」
謎の美女
「び、美人だなんてそんな……。ちょっと人探しをしているんです。もっとも、この国に居られるのかも分からないのですが……」
ヴィクトール
「へー。まあそれは兎も角、2人の出会いを祝して、これからちょっと飲みにでも……」

ゴリッ(後頭部に銃突き付け)

キャット
「……随分とベタなナンパね、ヴィクトール?」
ヴィクトール
「(ホールドアップ状態)……いやー、自覚はしてるんだけど、これがオレのスタイルだからね〜。という訳でキャットちゃん、銃を降ろしてもらっていいかな?」
キャット
「黙れ。冒険者ギルド前での無法は私が許さないわ。あなたも、こんな見え見えのナンパに乗っちゃダメよ?」
謎の美女
「……ナンパ、だったのですか?」
キャット
「分からなかったの? あなた、一体どこのお嬢様?(呆)」
アリア
「キャットちゃーん。街中で銃を抜くのはやめた方がいいと思うよ?」
キャット
「アリア、あなたにだけは言われたくないわ……」
謎の美女
「!?」
ヴィクトール
「おおっと、こちらのお嬢さんも可愛らしいじゃないの♪」
アリア
「え? わ、私、可愛い?(テレ)」
キャット
「アリア。あなたまで見え見えのお世辞に乗せられないでちょうだい(呆)」
ヴィクトール
「いやいや、オレは正直だからお世辞も嘘も言わないぜ? 君、アリアちゃんって言うの? キャットちゃんも可愛いけど、君も可愛いね〜。オレとお茶しない?」
アリア
「へ? そ、そういうのはちょっと……(引き)」
キャット
「あんた、こっちの子を口説いてたんじゃなかったの?(呆)」
ヴィクトール
「あら? ひょっとしてキャットちゃん、焼いちゃった?」
キャット
「だ・れ・が!」
ヴィクトール
「大丈夫! こっちの子に比べてキャットちゃんとアリアちゃんは胸が控え目だけど、オレ、無いチチ萌え属性も持ってるから♪」
アリア
「フルゲイーーーンッ!!!」
キャット
「至高の魔弾っ!!!」

ドガガガガチュドドドドーーーンッッッ

ヴィクトール
「うぎゃーーー!!!」
キャット
「だだだ誰が無いチチで何が控え目ですって!?(激高)」
アリア
「キャットちゃん。この人、埋めちゃおう(目が笑ってない笑顔)」
キャット
「ええ。二度とお天道様が拝めないよう、地中深くにしっかりとね(真顔)」
ヴィクトール
「(ボロボロ)……ちょ、ちょっと待った! ツッコミにしては少々どえらく過激じゃないかい!?」
キャット
「あんたの発言に対する報復としては軽すぎるわよ(冷)」
アリア
「そーです。本来なら月まで飛ばすところです(冷)」
シオン
「アリア、キャット。街中でフォーススキル(超強力な最終奥義)を使ってはいけませんよ」
かに
「そうだぞ。そこのメディックのお嬢さん、ビックリして固まっちまってるじゃないか」
謎の美女
「……(呆然)」
アリア
「だって先生! この人が私たちのことを、その、な、無いチチって言うんですよ!?」
シオン
「(ぴく)……ほほう。あなた、一回死んでみますか?(氷の微笑)」
ヴィクトール
「怖っ! この人が一番怖いよ!? 誰か助けてー!」
かに
「こらこらシオンまでエキサイトするでない。……さて、メディックのお嬢さん、大丈夫かな?」
謎の美女
「……ご」
かに
「……ご?」
謎の美女
「ご主人様、お会いしとうございました!(大歓喜)」
かに
「ご、ご主人様ぁ!?」
ヴィクトール
「こ、こんな美女にご主人様と呼ばれるとはなんて羨まけしからん! って言うか是非ともオレの事もそう呼んで欲しい!」
キャット
「あんたはもう少し本音を心に秘めるということを覚えなさい!」
アリア
「って言うかかにさん、これは一体どーゆーことですか!?」
かに
「吾輩だって知らんっちゅーねん! お嬢さん、誰かと勘違いしてないかな!?」
メルル
「違いますご主人様! 私です、メルルです!」
かに
「…………は?」
アリア
「え? …………えーーーっ!?」
シオン
「ほ、本当にメルルなのですか?」
メルル
「はい! シオン様、アリア様もお懐かしゅうございます! ああ、本当に皆さまにお会いすることが出来るなんて!(感涙)」
キャット
「……何? あんた達、知り合い?」
アリア
「えーっと、知り合いというか何と言うか……(混乱中)」
かに
「と、取りあえず、まずは場所を移そう。さすがの吾輩もちょっと混乱気味だ」



☆    ☆    ☆    ☆    ☆



冒険者ギルド

ギルド長
「……そういうことでここを使われては困るのだがな」
かに
「すまんが緊急事態なんだ。ちょっとだけ場所を貸してくれ」
シオン
「……成る程。私たちと時を同じくして、メルルもこちらの世界に来ていたのですね」
アリア
「それで、その時にはもうその姿だったの?」
メルル
「はい」
キャット
「その姿って? って言うか、結局あんた達は知り合いなの?」
かに
「あーっとだな。話せば長くなるのだが、メルルは元々吾輩たちのファミリーの一員だったのだ。ただ、その時はこんな姿じゃなかったんだよなぁ」
キャット
「さっきから珍しく歯切れが悪いわね。はっきり言いなさい、はっきり」
アリア
「えっとね? その時はメルルってアイルー……分かり易く言うと猫だったの」
キャット
「……冗談にしては出来が悪いわよ?」
シオン
「冗談であれば、まだ良かったのですけどね」
キャット
「ということは冗談じゃないのね……」
かに
「まあ、これも世界樹の不思議ということで無理やり納得するとしよう。で、メルルも冒険者になったんだな?」
メルル
「はい。皆さまと合流するためには、冒険者になるのが一番だと思いましたので」
シオン
「さすがはメルル、賢明な判断ですね」
アリア
「しかも、私たちが待ち望んでたメディックです!」
かに
「そうだな。メルル、吾輩たちは今、世界樹の迷宮踏破のための冒険をしているのだ。また力を貸してくれるか?」
メルル
「勿論ですわ」
アリア
「メルル、これからも宜しくね♪」
メルル
「はい♪ ……ところでセンパイは?(きょろきょろ)」
かに
「あー、セバスチャンな。てっきりセバスチャンとメルルはこっちに来てないと思ってたんだが……」
シオン
「メルルがここに居るということは、セバスチャン殿もこちらの世界に来ている可能性が高いですね」
メルル
「……と言うことは、センパイは居らっしゃらないのですね(しょぼん)」
かに
「まあ、あいつはしぶといから大丈夫だろ。それに、このまま冒険を続けてれば合流できるさ」
メルル
「……そうですね、そう信じます」
アリア
「セバスチャンも人間になってるのかなー。……どんな姿になってるのか、ちょっと楽しみかも」
キャット
「セバスチャンっていうのも……その、アイルー? なの?」
アリア
「うん。かにさんの狩りを現地でサポートしてくれるオトモアイルーなの。あ、メルル、この人はキャットちゃん。こっちに来てから私たちの仲間になってくれた人なんだ♪」
メルル
「そうですか。キャット様、これから宜しくお願い致します(お辞儀)」
キャット
「ええ、宜しくね。私はキャット、ガンナーよ(微笑)」
ヴィクトール
「あ、オレはヴィクトール。親しみを込めてヴィクって呼んで欲しいな♪」
キャット
「……あんた、なんで居るの?(冷)」
ヴィクトール
「やだなぁキャットちゃん。これから仲間になって一緒に冒険してくんだから、もっと仲良くしよう♪」
キャット
「一体いつ、どこであんたが仲間になったっての!?」
ヴィクトール
「だってナイスバディな美女に、将来超有望なお嬢さんが2人も居るんだぜ? そんなギルドに入らない訳にはいかないでしょ♪」
キャット
「あんたの低俗な理由なんか知ったこっちゃ無いわよ!」
アリア
「……さっきから思ってたんだけど、キャットちゃん、その人と知り合い?」
キャット
「知り合いじゃないわ。顔を知ってるだけ。一ヶ月前から冒険者ギルドに居付いててね。女性冒険者を手当たり次第ナンパしてる危険人物よ(冷)」
ヴィクトール
「そうそう。キャットちゃんをナンパしたら、いきなり発砲されたりしたね〜♪」
キャット
「……あの時、あんたの息の根を止めれなかったことを、今は心底後悔してるわ(悔)」
アリア
「た、大変だったんだね……(汗)」
かに
「……お前さん、ひょっとするとバードだな?」
ヴィクトール
「そのとーり! バードはいいぜー? 歌声1つでパーティを全体強化! あんたがリーダー? ギルドに1人、バードはどうだい?」
かに
「……ふむ。ハンターで言うところの狩猟笛使いか」
シオン
「もしそうであれば、ギルドの戦力の底上げには欠かせませんね」
キャット
「ちょっと、私は反対よ! バードは兎も角、そいつだけは絶対嫌!」
アリア
「私もこんな変な人と一緒に冒険するのは嫌ですー!」
ヴィクトール
「ちょっとちょっとお2人さん、そんなつれないこと言わないで〜」
かに
「まあ待て。メディックは勿論だが、バードもギルドに入れるべきだと、吾輩の勘が告げている」
ヴィクトール
「おお、さすがはリーダー。見る目があるね〜♪」
キャット
「リーダー!? 私は絶対に……」
かに
「(こそこそ)キャット、ここは吾輩に任せろ」
キャット
「(こそこそ)……ホントに任せてもいいんでしょうね? 信じるわよ?」
かに
「(こそこそ)大丈夫だ。……あー、ヴィクトールと言ったな? お前さん、ひょっとするとウチのギルドに入ったら女性3人に手を出す気満々だな?」
ヴィクトール
「当ったり前でしょ! いい女は口説いてモノにする。これオレのモットーね♪」
アリア
「うわぁ……(どん引き)」
キャット
「人間のクズね(冷)」
かに
「ふむふむ。それは大変結構なモットーだが、それには少々問題があってな」
ヴィクトール
「問題?」
かに
「例えば、そこのアリアを口説いたりすると……」

キリキリキリ……(弓を引き絞る音)

ヴィクトール
「……何か、背中から猛烈な殺気が吹き抜けて来るのですが(恐る恐る)」
シオン
「……もしもアリアに不埒な真似をすれば……後は言わずともお分かりですね?(氷の微笑リバース)」
ヴィクトール
「分かります分かります分かります! だから後頭部から眉間を射抜く気満々の弓を早く降ろしてーっ!(泣)」
アリア
「せ、先生ったら……(ぽっ)」
かに
「という訳で、アリアには強力な保護者が居てな。かと言って、こちらのキャットを口説こうとすると……」

シャラン……(剣を鞘から引き抜く音)

ヴィクトール
「……今度は、背中から明確な殺気が感じられるのですが(恐る恐る)」
ギルド長
「……久々に抜いたこの剣、切れ味が鈍ってないか確かめてみるとするか(極冷)」
ヴィクトール
「ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ! だから触れてるだけでそっ首落ちそうな切っ先を早く引いてーっ!(泣)」
キャット
「お姉ちゃ……ギルド長ったらっ!(赤面)」
ギルド長
「……ふん(チャキ)」
ヴィクトール
「リーダー! ごわがったよーっ!(泣)」
かに
「貴重な体験をしたと思え。世の中には触れてはいけないものがある、とな」
ヴィクトール
(こくこくこく!)
かに
「そういうことで、ギルド内の女性には手出し厳禁だ。というか、出すとお前さんの命が無い」
ヴィクトール
「……メ、メルルちゃんはどうなのかな?」
かに
「(めげないヤツ……)メルルもダメだ。彼女にはもう、心に決めた相手が居るんでな」
ヴィクトール
「ガーーーン!(しおしおしお……)」
メルル
「ごごごご主人様!?(顔真っ赤)」
かに
「おっとスマンスマン。これは吾輩の勝手な妄想だったかな?(意地悪そうな笑み)」
アリア
「えへへ〜♪ 早くセバスチャン、見つかるといーね?」
メルル
「ア、アリア様までからかわないで下さい……(赤面)」
かに
「さて、それでも我らがギルド『ロストウェイ』に入りたいのなら大歓迎なのだが」
ヴィクトール
「いや、やっぱいいわ(爽やかな笑み)。ギルド長、美人な女性ばっかりでバードを募集してるギルドってあるー?」
かに
「とう!」

ドガッ(シールドツッコミ)

ヴィクトール
「はふう……(バターン)」
かに
「よし、バードを一名捕獲、と。さっさと我らがギルドに登録しちまおう(爽やかな笑み)」
メルル
「よ、宜しいのでしょうか?(汗)」
アリア
「多分ダメだと思うんだけどなぁ」
キャット
「あいつの心配より、女性陣は自分の心配をするべきよ。いい? あいつと同じ部屋で2人きりにならないこと。あいつと女性陣だけで樹海に行くなんて以ての外よ?」
アリア
「大丈夫だよ。きっとその辺りは、先生とかにさんがちゃんとしてくれるから」
キャット
「……まあ、あの2人なら確かに大丈夫そうだけど。……うん?」
ギルド長
「(ひそひそ)……シオン、分かっているな?」
シオン
「(ひそひそ)……お任せ下さいギルド長。もし万が一、彼が不埒な真似に及んだ時は……」
ギルド長
「(ひそひそ)……うむ。事後処理については安心しろ。冒険者ギルド長の全権力を使って揉み消すことを約束しよう」
キャット
「そっちはそっちで怖い話を真顔でしないでちょうだい!」



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2012/05/12

起源にして、頂点(のガンナースキル)

第1階層 古跡ノ樹海 1F

シオン
「キャットの加入で、パーティとしての攻撃力がかなり向上しましたね」
アリア
「さすがだね、キャットちゃん♪」
キャット
「ふふん、もっと褒め称えても構わなくってよ(鼻高々)」
かに
「ま、動きは遅いけどな」

ドキューーーン

かに
「おっと(ひょい)」
キャット
「うるさいわよ! あと軽々避けるのは止めなさい!」
アリア
「そうですよかにさん。パラディンなんだから、せめて盾でガードしてあげないと」
かに
「はっはっは。パラディンの誇りであるこの盾を、そう易々と使う訳にはいかんなぁ」
キャット
「そーゆーことを言ってるんじゃ無いわよ!」
かに
「しかし冗談抜きで、ガンナーってのはハンターで言う所のヘビィボウガンナーなんだな」
シオン
「高攻撃力に低機動力、ですか」
キャット
「し、仕方ないでしょ! 弾を込めて、狙いを付けて、撃つ。ガンナーにはこの3挙動が絶対に必要なんだから!」
かに
「後衛から安全に攻撃出来る分、攻撃速度が遅いのかもな」
アリア
「でも、同じ後衛の先生は速いですよね?」
シオン
「その分、攻撃力はキャットに遠く及びませんよ。前衛でも攻撃力はアリア、攻撃速度は先輩に分があるように、攻撃力と攻撃速度は基本的にトレードオフのようですね」
かに
「オールマイティってのはあり得ないってことか。……しかし、パーティ4人中、半分がモンスターの後手を踏むってのは正直辛いのう」
シオン
「先輩と私で先制してモンスターを1匹倒したとしても、アリアとキャットが攻撃する前に残ったモンスターが動きますからね」
かに
「回復役が居ない中でこれは厳しい。具体的に言えばメディカ代が嵩みすぎる」
アリア
「お陰でギルドの財政状況は真っ赤っ赤です……」
キャット
「ほ、ほら、暗い顔してないで先に進むわよ! 私だって、スキルを覚えれば攻撃速度の問題は解決するわよ。……多分」
かに
「ま、今のところはそれに期待するしかないか」



☆    ☆    ☆    ☆    ☆



かに
「さて、この部屋には何があるのかな、と」

世界樹の迷宮内を進み始めた君たちは
深い森の中に小さな木製の看板
立っているのを発見した。

アリア
「看板? あ、あれですね」
シオン
「『広間の魔物に手を出すな! 好奇心は猫をも殺す。貴君らの賢明な判断を望む』……だそうです」
キャット
「先人の残した警告文、ってところね。肝に銘じておきましょう」
かに
「うむ。じゃあさっそく広間の魔物とやらを見に行ってみるか♪」

ドキューーーン

かに
「よっ(ひょい)」
キャット
「あんた今の私の話聞いてた!? それとさらっと避けるな!」
かに
「はっはっは、まだまだ若いなキャットよ。手を出すなと言われれば、出したくなるのが人の性(さが)というものだ」
キャット
「な、なんてひねくれ者なの……(愕然)」
シオン
「まあまあキャット、落ち着いて下さい」
アリア
「そうそう。こんなのいつもの事なんだから」
キャット
「……あんた達、達観しすぎ(呆)」



☆    ☆    ☆    ☆    ☆



1F 広間

木漏れ日あふれる樹海の中
君たちは軽快に足を進めていた。

しかし、樹海の中にある古い遺跡の後、
一つの扉をくぐったことろで、不意に
強い気配を感じその歩を止める。

かに
「む、ここか?」
アリア
「かにさん、あ、あれ……(指さし)」

見れば扉の向こう側、開けた部屋の
真中に、恐ろしい気配を発する
魔物が鎮座している!

キャット
「魔物!?(ガチャ)」
シオン
「キャット、静かに!」

……しかし、どこかケガでも
しているのだろうか? 魔物
はその場から動く気配はない

キャット
「……動かない、わね」
シオン
「これは好都合ですね。刺激しないように、広間を通り抜けましょう」
かに
「うむ、そうだな」
アリア
「あれ、かにさん珍しいですね。いつもなら『絶対戦う!』とか言い出すのに」
かに
「吾輩がそう言う時は、ギリギリで勝ち目がある時だけなんだよ」
アリア
「……ということは、あのモンスターには勝ち目が無いってことなんですね(ごくり)」
かに
「今は、な。さあ、早いところ通り過ぎるぞ」

君たちがよほど腕に自信のある
冒険者でない限り、この魔物の存在は
無視して先に進むのがいいだろう。

かに
(ぴく)

……ただし、君たちが自分の力を
試してみたいならば、目の前の
魔物に戦いを挑むのも自由だ。

かに
「そこまで言われて黙って先に進めるかぁ! 総員、戦闘準……」
アリア
「デスバウンドー!」

ドカメキィッッッ(アックスツッコミ)

かに
(ぴくぴくぴく)
アリア
「危ない危ない……(汗拭い)。天の声も余計なこと言わないの!」
キャット
「……私に足りないのは、あの躊躇いの無さなのかしら?」
シオン
「キャット。あまり変なことは覚えないで下さい」



☆    ☆    ☆    ☆    ☆



かに
「痛たたた……。しかし、あの広間に居たモンスターは何だったんだ? 明らかに、今までのモンスターとは格が違ったが」
キャット
「え? あれがFOEでしょ?」
アリア
「えふおーいー?」
かに
「なんだそりゃ?」
キャット
「はぁ? あんた達、冒険者のくせにFOEのことも知らないの?」
アリア
「うん。キャットちゃん、教えて♪」
キャット
「ふふん、仕方ないわね。いい? 樹海の魔物は、同じ階の中ならその強さも大体同じってのが相場なの」
アリア
「……うん。確かに針ネズミもひっかきモグラも森マイマイも、そんなに強さは変わらないね」
キャット
「ただし! その常識を覆すのがFOEよ。同じ階の魔物とは比べ物にならない強さを持つ異質な存在だ、ってお姉ちゃ……こほん。ギルド長が言ってたのを聞いたことがあるわ」
かに
「……成程。上位序盤で空気も読まずに乱入してくるイビルジョーみたいなもんか」
シオン
「そのようですね。幸い、遠目からでも存在は確認できるようですし、FOEは極力避けて進むようにしましょう」
キャット
「……なんだかあっという間に順応したわね」
アリア
「あの2人はこーゆーのに慣れてるから」



☆    ☆    ☆    ☆    ☆



シオン
「(マップ描き描き)……1階の地図は殆ど埋まりましたね」
アリア
「あ! みんな、あれ!」
かに
「おお、あれこそは2階への階段!」
シオン
「では、あの階段を上がったら、今日は街に戻りましょうか」
キャット
「そうしましょう。戦闘ばっかりで疲れちゃったわ……っ!?」

クロウラーが現れた!

かに
「ぬお!? でっかいイモムシ!?」
キャット
「ああもう、もうすぐ帰れるって時に!(ガチャ)」
シオン
「強敵の予感がします! 気を付けて下さい!」
かに
「任せろ! いかに強敵と言えども、所詮は1匹! くらえ!(ザクッ)」
シオン
「(キリキリキリ)……はっ!(パワーショット)」
アリア
「デスバウン……」

クロウラーの攻撃!(ドガッッッ)

アリア
「きゃあ!?」
シオン
「アリア!?」
アリア
(気絶中)
かに
「一撃で戦闘不能だと!?」
キャット
「アリア! は、早く薬泉院に連れて行かないと!(焦り)」
かに
「落ち着けキャット! しっかり狙うのだ!」
キャット
「ええい!(スカッ) ああもう、ちゃんと当たりなさいよっ!」
かに
「落ち着けというに! シオン、ヤツの体力は残りどれ位だ!?」
シオン
「……大よそ6割というところかと」
かに
「6割だと!? ……吾輩は前衛で守備に徹する! シオンは援護に回れ! メディカを惜しむなよ!」
シオン
「分かりました!」
キャット
「わ、私は!?」
かに
「決まってるだろうが! お前がアイツを仕留めるんだよ!」
キャット
「私1人で!? む、無理よ! それより逃げた方が……」
かに
「逃げ損ねたらそれこそ全滅だ! 出来なくてもやるしか無い!」
キャット
「そ、そんな!?」
かに
「お前なら出来る! ……自分を信じろ(ニヤリ)」
キャット
「……分かったわよ! やるわよ! やればいいんでしょ!?」
かに
「その意気だ! ああそうそう。メディカも残り少ないから、なるべく早めに倒してくれい」
キャット
「勝手なことばっかり言わないで!」
かに
「ふははは! さあイモムシ野郎、ここは一歩も通さんぞ!(ガード体勢)」
シオン
「キャット。落ち着いて、撃つ事だけに集中して下さい。大丈夫、あなたに攻撃は通しません。我々を、仲間を信じて!」
キャット
「(こくり)……(集中、集中、集中……精密に……正確に……相手の動きを読んで……その先に弾を置くように)……今!」

ズドンッ!

キャット
「……」
かに
「(ガード体勢)……?」

ドサッ……


クロウラーを撃破した!

キャット
「……やっ……た?」
かに
「やったなキャットよ! ナイスな一撃だ!」
キャット
「あ、当たり前よ! 私にかかればあれ位は……って、そんなことよりアリアは!?」
シオン
「(介抱中)……意識はありませんが、呼吸はしっかりしています。大事は無いと思いますが、急ぎ薬泉院に見て貰いましょう」
かに
「ではアリアドネの糸を使うか。皆、はぐれるなよ!」



☆    ☆    ☆    ☆    ☆



冒険者ギルド

かに
「……ということがあってな。さすがの吾輩も肝を冷やしたわい」
キャット
「まったくだわ。もっとしっかりしてくれないと」
アリア
「うん。心配かけてごめんね?」
キャット
「べ、別に心配してなんか! ……ま、まあ、無事で何よりだったけど(そっぽ向き)」
アリア
「えへへ〜♪」
シオン
「アリア、痛いところなどはありませんか?」
アリア
「はい、全然大丈夫です! 泉薬院の院長さんのお陰ですね」
ギルド長
「あそこの院長は若いが腕は確かだからな。……それにしてもクロウラーか。確かに1階ではかなりの強敵だな」
かに
「うむ、ネズミやもぐらとはレベルが違った。今後も気をつけねばならんな」
アリア
「そうですね。せめて一撃は耐えられるようにならないと!」
かに
「しかし、今回の殊勲は何と言ってもキャットだな。あの場面で正確無比かつ高威力の狙撃は、中々出来るもんじゃない」
キャット
「ふふん、実力よ、じ・つ・りょ・く♪(鼻高々)」
シオン
「しかもクロウラーが動く前に、ですからね。もしクロウラーに先に動かれて先輩や私が戦闘不能になってしまったら、一体どうなっていたことか」
キャット
「…………え? 私、あの時結構時間を掛けて撃ったつもりなんだけど」
かに
「そうなのか? それにしては、いつもより攻撃が素早いくらいだったが」
ギルド長
「……人は極限まで集中力を高めた時、体感時間が長くなるものだ。一瞬を無限とし、その中では相手の動きすら手に取るように分かるようになる」
キャット
「……確かに、そんな感じだった……かも」
ギルド長
「その時、腕の立つガンナーであれば、必中必殺の一撃を放てるという。それがガンナーのスキル『精密射撃』だ。……これを使えたとなると、初心者からは一歩成長したようだな」
キャット
「あ、当たり前よ! これからどんどん強くなって、一人前の冒険者になるんだから!」
ギルド長
「……ふ、頼もしいことだ(微笑)」
かに
「しかし、まさかFOEが普通に出てくるとはなぁ」
シオン
「そうですね。何か対策を打たねばなりません」
キャット
「大丈夫よ。いくらクロウラーが出てきても、私の精密射撃で蹴散らしてあげるわ!」
アリア
「わー、キャットちゃん頼もしー♪(ぱちぱちぱち)」
シオン
「しかし精密射撃もTPを使用しますからね。それだけに頼るという訳にも……」
ギルド長
「……ちょっと待て。おまえ達、一体何の話をしているのだ?」
かに
「何って、FOEたるクロウラーをこれからどうするのかって話だが」
ギルド長
「……言っておくが、クロウラーはFOEでは無いぞ」
アリア
「……へ? だ、だって、あんなに強かったんですよ!?」
かに
「そうだ! タフだし堅いし攻撃力は半端無いし。まさに同じ階のモンスターとは格が違うではないか!」
ギルド長
「FOEの強さはあんなものでは無い。そうだな、分かりやすく言えば……」
アリア
「い、言えば?(ごく)」
ギルド長
「最も弱いFOEでも、あらゆる面でクロウラーの5倍は強い」
キャット
「ご、ごぉ!?(絶句)」
シオン
「……皆さん、FOEには決して手は出さないようにしましょう」
キャット
「了解よ(疲)」
かに
「……」
アリア
「……今、何か不穏な事を考えてませんか?」
かに
「まったくサッパリなんにも?」
アリア
「……怪しい」



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2012/05/07

新たな仲間 その名は……

冒険者ギルド前

アリア
「頼りになる人が仲間になってくれるといいですねー」
シオン
「そうですね。出来れば回復役のメディック、後衛からの攻撃役としてアルケミストかガンナーが良いのですが」
かに
「まあ、まずはギルド長に相談してみるか。……おや? 何やら冒険者ギルドの中が騒がしいな」



☆    ☆    ☆    ☆    ☆



???
「許さん! お前が冒険者になるなど、私は絶対に許さんからな!」
???
「そんなの知らないわよ! 私は絶対に冒険者になって、あの人のギルドに入るんだから!」
???
「素人同然のお前では足手まといだ! それにベオウルフは現在、メンバーの募集はしておらん!」
???
「う……。と、兎に角、お姉ちゃんに何て言われようと私は冒険者になるの!」
???
「こ、こら待てキャット!」



☆    ☆    ☆    ☆    ☆



アリア
「……喧嘩でしょうか?」
かに
「そのようだな。しかし片方の声はどこかで聞いたことがあるような……おっと」

バタンッ

謎のガンナー少女
「……なによ?」
アリア
「い、いえ、何でも無いです!」
謎のガンナー少女
「……ふん」

ガシッ

かに
「ちょっと待て、そこな少女よ!」
謎のガンナー少女
「きゃあ!? ちょ、ちょっと何すんのよ!」
かに
「1つ確認したいのだが、先ほどの冒険者ギルド内での喧嘩の主はお前さんか?」
謎のガンナー少女
「……だったら何だって言うのよ」
かに
「ふむふむ。もう1つ確認なのだが、その格好と腰の銃を見るに、お前さんはガンナーだな?」
謎のガンナー少女
「そうよ。しかも頭に腕利きの、って付くね(不敵な笑み)」
かに
「で、冒険者レベルは1の新米、と」
謎のガンナー少女
「あんた人の話聞いてんの!?」
シオン
「(コソコソ)……先輩。ひょっとして、彼女をギルドメンバーに誘うつもりですか?」
かに
「(コソコソ)おう。先ほどの喧嘩を聞いてる限り、まだフリーのようではないか。しかも都合が良いことに、我々が求めていたガンナーときた。これぞまさに天の配剤だな」
アリア
「(コソコソ)でも大丈夫ですか? さっきの話だと、他のギルドのメンバーになりたがってるみたいですけど」
かに
「(コソコソ)ふっふっふ。まあ任せておけい」
謎のガンナー少女
「ちょっと、用が無いならもう行くわよ?」
かに
「おうスマンな。お前さん、どこかのギルドに入りたいんだって?」
謎のガンナー少女
「……そうよ。ベオウルフって聞いたことない? この街でも1、2を争う実力派ギルドなのよ(自慢げ)」
かに
「で、お前さんはそのギルドに入りたいが、当のベオウルフとやらはメンバーを募集してない、と」
謎のガンナー少女
「う、うるさいわね! 私が冒険者として名を上げれば、きっとメンバーにしてくれるわよ!」
かに
「うむうむ。吾輩もそう思うぞ」
謎のガンナー少女
「そ、そう? やっぱりそう思うわよね!(喜)」
かに
「しかし、名を上げようにもお前さん1人では樹海を探索できまい? 如何にお前さんが腕利きでも、な」
謎のガンナー少女
「そ、それはそうだけど……」
かに
「そこで提案なのだが、お前さん、吾輩たちのギルド『ロストウェイ』に入らんか? ベオウルフに入るための経験の場としてな。どうだ?」
謎のガンナー少女
「あんた達の? ……いいわ。確かに、経験を積むためにはどこかのギルドに入らなきゃいけないし」
かに
「よし、交渉成立だな。吾輩はギルドリーダーのかに、パラディンだ」
キャット
「了解、リーダー。私はキャット、ガンナーよ」
かに
「キャットか。以後宜しくな。ところでお前さん、ヘルメットは好きかね?」
キャット
「……何の話?(怪訝)」
かに
「はっはっは、まあこの話は追々にな。さて、あと2人メンバーが居るのだが……シオン、アリア?」
シオン
「……(疑いの視線)」
アリア
「……(同じく)」
かに
「……どーした?」
シオン
「……先輩。言葉巧みに、いたいけな少女を騙した過去などありませんよね?」
かに
「し、失礼なことを言うなーっ! ある訳無いだろうがっ!」
アリア
「だって、あんなにスラスラと嘘八百な勧誘をするんですもん」
キャット
「……嘘なの?(ガチャ)」
かに
「嘘じゃない! だからいきなり銃を抜くな! なんで最近の娘は怒りの沸点が低いのかねまったく」
アリア
「私たちの沸点が低いんじゃなくて、かにさんの言動がいけないんですー!」
キャット
「ちょっとちょっと。結局さっきの話は嘘なの? ホントなの?」
シオン
「ええっとですね。確かに我々はメンバーとしてガンナーを必要としています」
アリア
「でも、出来ればそのメンバーには、ずっとずっとギルドに居て欲しいんです」
キャット
「……なんで?」
アリア
「だって、仲良しになったらずっと一緒に冒険していきたいじゃないですか♪」
キャット
「……私の目標はベオウルフのメンバーになること。それは変わらないわ」
アリア
「……そうですか(しょんぼり)」
キャット
「でも、もしベオウルフに入れなかったら……その時はあなた達のギルドに腰を据えるわ。それじゃあダメかしら?」
アリア
「そ、それでいいです! ね、先生、いいですよね!?」
シオン
「ええ、大変ありがたい申し出、感謝いたします。私はレンジャーのシオンです。同じギルドのメンバーとして、これから宜しくお願いします」
アリア
「私はソードマンのアリアです!」
キャット
「シオンにアリアね。私はキャットよ。こちらこそ宜しくね(微笑)」
アリア
「うん、宜しくねキャットちゃん♪」
キャット
「キャ、キャットちゃん!? ちょっと待ちなさい! あなた何歳!?」
アリア
「え? 16歳だけど」
キャット
「私は18! つまりあなたより2歳上なの! だからちゃん付けは止めなさい!」
アリア
「えーっと、じゃあキャットお姉さん?」
キャット
「……何か違うわね」
アリア
「じゃあ……キャ、キャットお姉さま?(ぽっ)」
キャット
「……キャットちゃんでいいわ(諦め)」
アリア
「やったー♪ ひまわりちゃんにキャットちゃん、同年代のお友達が出来て嬉しいなぁ。これから宜しくね♪」
キャット
「……はいはい(テレ)」
かに
「よし。ツンデレ娘もデレたことだし、改めてメンバー登録しに行くとするか(爽やかな笑顔)」

ドキューーーン

かに
「のわぁぁぁ!?(のけ反り)」
キャット
「(抜銃体勢)だ、誰がツンデレですって!?(赤面)」
かに
「い、いきなり発砲するな! 当たったらどうするつもりだ!?」
アリア
「キャットちゃん。かにさんはガンジョーだから当てても大丈夫だよ? 確か狙い目は眉間だって先生が言ってたかなぁ」
キャット
「分かったわ、眉間ね!(狙い定め)」
かに
「アリア嬢、余計なことを言うんじゃない!」
アリア
「都合のいいことばっかり言って、キャットちゃんを混乱させた罰です!」
キャット
「そこ!」

ドキューーーンドキューーーンドキューーーン

かに
「ほあ! とわ! だぁぁぁぁ!」
キャット
「く、ちょこまかと!」
アリア
「んー、もうちょっと右じゃないかな?」
シオン
「……さて、では私は先に行ってますね」
かに
「ちょっと待って助けて止めてーっ!」



☆    ☆    ☆    ☆    ☆



冒険者ギルド

ギルド長
「……む? お前は確か、ロストウェイのシオンだったな?」
シオン
「はい。覚えていて下さいましたか」
ギルド長
「ふん。私の話の途中でさっさと居なくなるようなギルドなど、そうは無いからな」
シオン
「そ、その節は失礼いたしました(汗)」
ギルド長
「まあいい。先ほど公宮から連絡があったが、どうやら地図作りのミッションを達成したようだな?」
シオン
「はい。大分苦労しましたが」
ギルド長
「3人などと少数で挑んだのだから、苦労するのも当たり前の話ではあるがな。5人パーティが正規の人数だと、あれ程言っておいたというのに」
シオン
「はい。それを反省して、今日は新しいメンバーの登録に来た次第です」
ギルド長
「そうか。ギルドメンバーは大勢居るに越したことは無い。異なる職能を持ったメンバーが居れば、探索内容に合わせてギルド内の人員を有効に組み分けることが出来るからな。例え全員が一度に探索は出来ずとも、だ」
シオン
「……そうですね。リーダーに進言して、なるべく多くのメンバーをギルドに招くようにします」
ギルド長
「それが良かろう。で、今日登録しに来たメンバーはどこに居るのだ?」
シオン
「ええっと、もうじき来ると思うのですが……」

バタン

かに
「あー、怖かった」
キャット
「……まさか一発も当てられないなんて(無念)」
かに
「ふっふっふ。まだまだ青いなキャットよ」
アリア
「キャットちゃん、後でかにさんへのツッコミ方法を教えてあげるね♪」
かに
「……アリア嬢。余計なことは教えんで宜しい」
シオン
「ああ、丁度来ましたね。彼女が新メンバーの……」
ギルド長
「キャ、キャット!?」
キャット
「……あら。ギルド長様におかれましてはご機嫌麗しく(つーん)」
アリア
「あれ? キャットちゃん、ギルド長さんと知り合い?」
キャット
「まあ、ね」
ギルド長
「ロストウェイ! まさか新メンバーというのはキャットのことでは無かろうな!?」
かに
「おう、察しがいいな。と言う訳で、早速登録頼むぞ」
ギルド長
「い、いかんぞキャット!」
キャット
「あらあら。ギルド長様が一ギルドの構成員に口を挟むなんて変じゃありませんこと?(つんつん)」
ギルド長
「ち、違う、そういう事では無いのだ! いいか? このロストウェイというギルドは、たったの3人で樹海に挑むような無謀極まりないギルドなんだぞ!?」
アリア
「いやー、そんなに褒められると照れますねー」
ギルド長
「断じて褒めてないっ! しかもギルド名に『迷子(ロストウェイ)』などという名前を付ける酔狂さ!」
かに
「いい名前だと思うんだがなぁ」
アリア
「実は私も最近慣れてきまして、そうなると結構いいなぁ、なんて思ってたりします」
ギルド長
「さらにリーダーは脳筋、そこの娘は不器用、まともなのはレンジャーだけという末恐ろしいギルドなのだ! キャットよ、考え直せ!」
かに
「誰が脳筋か!」
アリア
「私だって不器用じゃないですー!」
キャット
「……どうしよう。何だかホントに考え直したくなってきたわ(悩)」
アリア
「ダ、ダメです! キャットちゃんはもう私たちの仲間なんですから!(腕抱え)」
シオン
「(コソコソ)……ギルド長。妹御が無事に樹海から帰れるよう私も全力を尽くしますので、彼女の参加をお許し下さい」
ギルド長
「(コソコソ)な、何故キャットが私の妹だと……」
シオン
「(コソコソ)……失礼ながら、あれだけ大声で喧嘩されていては外まで丸聞こえです」
ギルド長
「(コソコソ)そ、そうか(赤面)」
シオン
「(コソコソ)それに先輩……リーダーもああ見えて仲間思いで責任感の強い方です。ギルドメンバーのためならば、死力を尽くして下さるでしょう」
ギルド長
「(コソコソ)……そうか。ロストウェイよ、愚妹ではあるが……キャットを頼む」
シオン
「(コソコソ)了解しました。……ありがとうございます」
かに
「しかしまあ、アリア嬢が不器用ってのは間違ってないけどなー。はっはっは」
アリア
「(むっ)……キャットちゃん、よく見ててね? まずは武器を振り上げざま、殺気で相手の動きを止める!(ブオン)」
かに
「ちょ、ちょっと待っ」
アリア
「そして相手の動きを良く見て……全力で振り下ろす! 悪・即・打ーっ!」
かに
「おごわーっ!?」

チュドーンッッッ(アックスツッコミ)

かに
(ピクピクピク……)
アリア
「……ね?」
キャット
「成る程ね。勉強に……なるのかしら?」
ギルド長
「……シオンよ。本当に信じていいのだな?(不安げ)」
シオン
「ええ、まあ、あの…………はい(汗)」



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